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次世代エネルギーの行方

                                                                               2008.04.12 CNET JAPAN

  半導体市場は長きに渡って二桁成長を続けてきたが、今月に入って米国Gartner社のアナリスト、リチャード・ゴードン氏は長期的な(ひょっとしたら恒久的な)低成長が続く可能性を指摘した。http://www.computerworld.jp/topics/vt/102609.html

それに対して次世代エネルギーの一翼を担うとも言われている「太陽光発電」は非常に高い成長率を示している。また、去年某大手の総合商社の幹部と非公式に面談した折に「投資をするなら半導体ではなく太陽光発電」という流れがある話を伺ったし、「太陽電池」市場はバブルさながらの雰囲気がある。http://www.semicon-news.co.jp/news/htm/sn1785-j.htm

半導体も太陽光発電も同じように高純度のシリコンを使用する。電子材料の観点では同じ土俵に立っているし、製造装置メーカーとしても既存の半導体事業と連結的に展開することも可能なので、半導体市場が振るわない場合はますますリスクヘッジにもなるからこちらにも力が入ってくるだろう。その中でもAMATの動きは製造装置メーカーの中でかなり先行したと言っていい。また、以前であればスクラップになったシリコンウェハは「産業廃棄物」としてコストをかけて廃棄していたが、いまや慢性的なシリコン不足と相まって逆に「スクラップは売却」というのが当たり前になっている。デバイスメーカーは言うまでも無く、プロセス開発に非常に力を入れている製造装置メーカーにまでスクラップウェハはないかと声がかかる。いつからシリコンはこんなになってしまったのか・・・
一見して「太陽電池」を取り巻く状況はまさにばら色に見えるのだが、もう少し「次世代の代替エネルギー」という観点で見ると少し疑問というか不安も見え隠れする。「ピークオイル」という概念はご存知だろうか?http://www.iae.or.jp/publish/kihou/28-2/09.html

端的に言えば化石燃料(特に石油)がなぜエネルギー効率が高いのかという話である。石油は地下数キロに埋蔵していて加圧された状態にある。その為、油田では一度穴を開けると原油が自噴するので採掘にエネルギーを極論必要としないのである。そのため(発電の効率ではなく)エネルギーを取り出す原料としてみた場合に非常に高い効率を持っているのである。油田の寿命というのは実は完全な「枯渇」という訳ではなくて、自噴してこなくなった時を意味している。実際には自噴しなくても「オイルサンド」と呼ばれるような高濃度の原油を含んだエネルギーの原料になりそうなものを含めるとまだまだ「原油」としては枯渇を懸念する状況にはないのである。
問題なのは地下数キロにあるこのような「残留した原油」を取り出す採掘方法である。これを取り出すのに採掘機が湯水の様に「燃料」を使ったのでは全体の収支としてマイナスになってしまう。つまりそこに原油があるのに「取りに行くのに石油を使うのか」という話になる。自噴する原油は採掘自身にエネルギーを使わないので全体の収支として「利益」が上回る。これがここでいう効率である。ここで何故その話をするのかと言えば、「太陽電池」がシリコンの塊であることを考えるとエネルギー効率は本当に「高いと言えるのか?」という不都合な真実があるのである。
高純度のシリコンはN11(99.999999999%)が基本。これほどの高純度の物質を精錬しようとすれば半端な溶融ではすまない。炉は基本的に莫大な電気を消費するので、化石燃料の自噴と比べると圧倒的に効率が悪い、というよりもエネルギー収支の観点では「大幅な赤字」なのである。某社の太陽電池が変換効率10%強と言っているがこれはあくまで発電の効率であって100太陽光を受けたとして1割を電気に変えられます(面積当り)と言っているだけである。上述の通りエネルギーを取り出す「原料」という観点で比べれば皮肉なことに「太陽電池」を作る為に大量のシリコンを作り出せば作り出すほど電気が必要になるのである。
「太陽電池」自体はCO2を排出しないので2次的な意味でのエネルギーとしてはエコであり、それなりに消費量を抑える期待があるが果たして根本的なエネルギー改革になっているのか、というと少し大局に立って考える余地があるように思う。勿論、小生も一介のビジネスマンなので商売と言う観点では太陽電池の市場を無視することは出来ない。しかし、地球の住人として考えた場合はむしろ「発電」に関しては「本当に化石燃料を使わない」というのが正のような気がしてならないのである。真剣に「原子力発電」というものと向き合う必要はないだろうか?