地球温暖化の原因となる二酸化炭素(CO2)の大気中への放出を防ぐため、独立行政法人・海上技術安全研究所(三鷹市)は、氷点下55度でジャム状に固めたCO2を海底に貯蔵する技術を開発した。もっとも、現状では海洋への廃棄物投棄としてロンドン条約に抵触する恐れがあり、早期の実用化は難しそう。同研究所では「技術的課題はクリアした」として、国際的な論議の高まりに期待している。
同研究所の田村兼吉・部門長によると、この技術では、火力発電所などから出るCO2を液体にし、水深が3500メートル以上ある海洋まで搬送する。洋上のプラントで、CO2をジャム状になる氷点下55度まで冷やし、海中500メートルまで延ばしたノズルから放出する。CO2を完全に凍結させて固体にするとノズルに詰まって放出できなくなるので、流動性のあるジャム状にするのが技術のポイント。海水との温度差で表面が固まった“ジャム”は自らの重みで沈み、水深3500メートル以上の海底に達すると、水圧で再浮上できなくなる。
水深3500メートル以上の海底は、小笠原諸島の母島付近などにあり、「海洋なら場所はいくつもある」(田村さん)という。
この方法について、地球環境問題に詳しい大垣一成・阪大教授(環境物理化学)は「これほど深い海底での貯蔵ならCO2は安定する」と評価する。
これまでは低温度のCO2を放出する際、ノズルが凍ってしまうことが難点だったが、高圧状態で0~1度の温度に設定したCO2の液体をノズルの先に循環させる装置を設けて、凍結防止に成功した。
ただ、環境省によると、海洋での貯蔵はロンドン条約や海洋汚染防止法に触れる恐れがある。プラントの設置費用も約2500億円かかる見込み。
田村さんは「20年近く前から研究を始め、やっと技術的課題を克服した。温暖化は地球全体の問題なので、実用化できる環境整備を願いたい」と話している。