トヨタ、F1に環境技術 今季モータースポーツ ホンダ復活へ
2008.03.08 FujiSankei Buisiness
自動車レースの最高峰・F1世界選手権の開幕(16日、豪州)を前に、トヨタやホンダなどが相次いでモータースポーツ計画を発表した。先進国の排ガス規制強化の流れから「悪役」イメージの強いF1だが、各メーカーはF1マシンの先端技術を市販車の環境対応技術に生かすなど「走る実験室」の意味合いも強い。自社技術の優位性を世界へアピールする格好のチャンスだけに、日本勢の競争は激しさを増しそうだ。
「今年こそはF1初優勝の感動を届けたい」。トヨタの渡辺捷昭(かつあき)社長は7日、都内で開かれた活動計画発表会で言い切った。参戦7年目の今季は安定した空力性能が特徴の新型マシンを投入、初の表彰台を狙う。新型車開発は「トヨタ流のカイゼン」(渡辺社長)を施すなど全社一丸で取り組んだという。昨年からは米NASCARレースにも世界戦略車「カムリ」で参戦。国内では若手ドライバーの育成機関から14人を世界へ送り出す。
自動車メーカーがモータースポーツに力を入れるのは本業との相乗効果。わずかなタイムを競うF1で培った燃費向上や軽量化の技術はそのまま「(市販車への)環境技術につながる」(山科忠トヨタモータースポーツGmbH会長)からだ。さらに、F1で好成績を挙げることでブランドイメージは大きく向上する。
F1の「先駆者」として負けられないのがホンダ。現在のような「純正」ホンダチーム以外にもエンジンのみを供給していた時代があり、過去に計72回の優勝を誇る名門だ。その意味で表彰台にすら上がれなかった昨季は「屈辱のシーズン」(福井威夫社長)だった。今季は再起をかけ、フェラーリの技術責任者だったロス・ブラウン氏をチーム代表に招請。マシンも設計やエンジンを一から見直し、「乗用車をつくるレーシング会社」と言われるホンダの本領発揮を目指す。
日産自動車は提携先の仏ルノーがF1チームを送り込んでおり、自社は市販車の改造車で争う国内最高峰の四輪レース「SUPER GT」に参戦。今季は「NISSAN GT-R」を投入し、王者奪還を目指す。SUPER GTには日産のほか、トヨタも「レクサスSC」で、ホンダも「NSX」で参戦しており、国内3大メーカーのサーキット上での争いも注目される。
このほか、世界ラリー選手権(WRC)には富士重工業が長らく参戦。昨季は未勝利に終わったが、今季は3戦目で2位に入り復活の兆しを見せる。スズキも今季からWRCに本格参戦。「欧州でのブランド力向上に期待している」という。原油高や円高など自動車業界を取り巻く不安要素はあるが、日本メーカーはおおむね業績を拡大している。ブランド力向上を狙いにモータースポーツの取り組みを強化する動きは今後も続きそうだ。